1995年製作。カンヌでパルムドール賞を受賞した作品。
ユーゴスラヴィアの内戦を描いています。
物語は3部構成で、第1部は第二次世界大戦中の「戦争」、
第2部が大戦後の「冷戦」、最終章が「内戦」。
監督のエミール・クストリッツァ氏はボスニア・ヘルツェゴビナの首都サラエボ出身。
愛する祖国ユーゴスラビアへの鎮魂歌的な映画なのだと思います。
(調べてみると主演俳優たちも旧ユーゴ出身者なようなので深い思い入れを感じます)
内戦のさなかに作られたこの映画には合間合間当時のユーゴの内戦の映像が使われ、
リアリティをもって戦争の悲惨さを訴えかけてくる。
といっても映画全体はロクデナシばかりが登場して進行もとにかくコミカル。
深刻な場面も爆音のジプシー音楽で悲壮さを吹き飛ばしてく。
3時間近くある大作なのに飽きさせることなくテンポよく進行していく演出には舌を巻きました。
どこかおとぎ話のような、夢の話のようなラストシーン。
とても悲しく感じた。
最後に登場人物のひとりが語る。
「だが苦悩と悲しみと、喜びなしには子供たちにこう語り伝えられない。
”昔 あるところに国があった”と」
ユーゴというひとつの国が消滅し、それにたくさんの血が流れ、
その数だけたくさんの人生や闘いがあったのだな、としみじみ感じさせられました。
今このときにもいくつもの国が独立や自由のために現実に血を流している。
歴史が作られていくさまを見せつけられるような映画だった。
名作とはこういうものなんだろうなと思います。
興味のある方は10月21日までなのでぜひ。
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